成績の良い人が使っている「デッドライン効果」

時間を効率良く過ごす最も単純な方法は「時間を区切る」ことです。そしてデッドライン効果とは、「時間に区切りをつけることで、その作業効率がアップする効果」のことです。

例えばテストには、始まりと終わりの時間が明確に区切られて存在しますが、仮に、テストを解く時間が無限にあったらどうでしょう。ダラダラと解いてしまうか、ともすれば解き終わらないまま放置したりするかもしれません。

では、通常のテストで持ち時間を2時間与えられた場合はどうなるでしょう。通常50分程度で解いているものに2時間与えられるわけですから、その分ノロノロ解いたり、少し解いては休憩したり、余った時間を睡眠にあてたりなど、非常に非効率的な2時間になります。

これは、先生が試験時間に50分という適切な時間を割り当てることで(実際は50分という試験時間に合わせて先生が問題を作っていますが)、効率的な時間を作り出しているのです。

また、時間という概念は、人間に不思議な力をもたらします。例えば、初日の出に神々しさを感じたり、卒業式などの節目の日に、いつもの青空がより一層澄み渡っていると感じることがあります。これらは、本当に神々しい陽が出ているわけでも、特別空が青いわけでもなく、「正月」「卒業式」などの暦の上での時間の区切りによって、見る側の意識が変わっているに過ぎません。

そもそも、時間に区切りや節目というものは存在しません。そのため、自主的に区切りをつけなければ、ただ漫然と流れていくだけになります。

区切りやデッドラインが設けられることで、「初日の出」や「卒業式の青空」のように対象の捉え方が変わり、自身の行動にも変化が起きます。そしてこの変化こそが、時間を効率的に過ごすために必要なことです。

デッドラインはやる気と効率を引き出す

高校生でしたら、学校の補習を所与のものとして、自分には一体一日にどれくらい勉強に使える時間があるのか、一度振り返ってみてください。移動時間などの隙間時間を考慮しても、そんなに多くはないと思います。そして多くの人は、その少ない勉強可能時間をあまり効率的に使えていません。

その限られた時間を効率的に使うためには、例えば朝の移動時間では英単語の暗記、授業の合間には数学の問題演習など、細かくデッドラインを入れて勉強時間を区切ります。

意図的に時間を区切ることで、漠然と「単語覚えなきゃなあ」ではなく「朝の移動時間の間に単語を30個覚えなきゃな」という捉え方になり、移動時間が終わるまでに達成できるよう、体が行動し始めます。時間に追われると人間は効率的に行動しようとするのです。

逆に、明確に「移動時間のみ」と時間を区切らずに電車の中で単語帳を広げていても、意識は「iPhoneは新しいメッセージを受信していないかな」などと考えたり、今日の授業のことを考えて面倒だなと憂鬱になったり、放課後に遊びに行く場所のことを考えてウキウキしたりして、まったく効率的な勉強を行うことはできません。そうして、「単語覚えなきゃな」などと一日中ぼんやり考えていても、学校から帰ったら取り掛かろう、テレビを見終わったら始めよう、などと一向にその目標は達成されず、のび太くんのように翌朝を迎えてしまいます。笑