慶應文学部公募に挑む高3です。総合考査Ⅰ、Ⅱ 各問における時間配分、対策としてお勧めな参考書を教えてください。(相談日:2016.08.24)

慶應文学部公募に挑戦しようと考えている高3です。総合考査Ⅰ、Ⅱ 各問における時間配分、対策としてオススメな参考書などありましたら教えて頂きたいです。また、小論文のネタ本などを読むことも重要でしょうか?
アドバイスなどして頂きたいです。

回答者:慶應義塾大学法学部法律学科1年生

慶應義塾大学文学部1年の者です。自主応募推薦で合格した友人がいますので、以下、彼の意見をお伝えさせていただきいと思います。

推薦入試を経て現在、学部1年の者です。個人的な考えですが、参考にしていただければと思います。

結論から申し上げますと、慶大文学部自主応募推薦入試において、十全な対策指南書は非常に少ないのが現状です。
というのも、本入試の小論文は「起承転結、課題文の要約→『確かに』→『しかし…』」というような、ある種の参考書が教える小論文の書き方を
そのまま踏襲するようなやり方では解答できない複雑な内容が問われている設問であるためです。

過去問題に取り組まれた方ならば、実感されている方も多いかもしれませんが、総合考査Ⅰの要約説明問題では、課題文の単なる抜き書きでは解答が成立しえず、ディスコースマーカーを補う程度ではなく、順番を入れ替えたり、自分なりの解釈・推論を多少交えなければ答えられない場合があります。

そのときに出題された設問への正確な対応を第一に考え、解答を作成しなければなりません。ゆえに対策が非常に難しく、一般に出回っている、いわゆる参考書では良い学習に繋がるとは言いにくいでしょう。

では、何を「参考書」として対策を講じていけば良いか、について触れます。

それは過去問題です。
過去問題を分析することが、慣れるのに一番手っ取り早いと思います(少なくとも慶應文学部推薦入試対策としては)。

その中でも目を通しておくと良いと思う書籍については、後述しておきますので、参考に読んでみることを推奨します。

慶大文学部自主応募推薦入試では、同学部一般入試の小論文を傾向が酷似しており、社会問題や社会そのものの動向に焦点を当てさせつつ、文学部頻出テーマである、自己・他者論、コミュニケーション論、あるいは芸術論などを包括的に問う傾向にあります。

例えば、2012年度総合考査Ⅱに「これまで人類の上に蔓延していた呪詛の苦しみは無意義ということであって、苦しみそのものではなかった」(ニーチェ)という難解な短文のみが与えられたテーマ型小論文が出題されましたが、この設問なども、この当時の時代・社会・文化的背景を考えることなしに解答は不可能だっただろうし、ニーチェについてもある程度の知識を持っていると有利だっただろう設問です。

あるいは、2015年度総合考査Ⅰに出題された、清水真木の文章では、「ミーメーシス」「カタルシス」「プロット」「ミュトス」といった一般に馴染みの薄い、芸術学の基本用語を課題文の文脈に応じて理解すること、次いで、考えるに値する具体的な事例や場面を想起して「ミーメーシス」「カタルシス」「プロット」「ミュトス」といった概念を用いて分析を試みること、またその分析に即して自分なりの見解を述べることが、能力として必要でした。

これらの知識や能力を涵養していくためにも、大切なことは
過去問題を解きっぱなし、あるいは記述内容を添削してもらって終わり、にするのではなく、課題文を繰り返し「読解」し、自分の中の批判力を高める
ことです。
そのためにも、課題文の出典を辿り、一つ一つ読んでいくと深い思考力が定着するのではないかと思います。

総合考査Ⅰの英作文については、過去問題の他に国立二次(大阪大や京都大などで出題される)和文英訳問題に取り組むことを推奨します。また、例文(この表現はこのように表現する、英語と日本語の差異はこうであるということを)暗記することも重要ですので、そのための参考書も後述しておきます。

時間配分については、できるだけ小論文に時間をかけたいです(配点が英作文<小論文のため)。よってお勧めは、開始30分以内を英作文に充当して残り90分を小論文に充てる配分です。
私はこれで10秒しか余りませんでした(笑) 書ける人はもっと早く書き終わり、見直し時間もあるかもしれません。演習していくうちに自分の感覚が研磨されていくと思うので、時間配分は自己流で構わないと思います。

大切なのは、4問すべてに解答することです。回答を総括すると、「時間配分→自己流でok」、「対策の参考書→過去問題(出典を辿って全文読むのが好ましい」、「ネタ本→過去問題」です。

文学部の課題文は受験生の自明性を疑ってきます。様々な物事の見方と表現力を身に着ければ、オリジナリティに富んだ面白い思考力は獲得
できます。あとはそれを設問に沿いつつ言葉にするだけです。

それには、血のにじむような努力が要されますが、あと数か月諦めずに頑張ってください。
日吉の地から応援しています。

【小論文参考書】
過去問題に出題された中で、出典を辿り、全文読むことをお勧めするものです。必要に応じて図書館や書店などで手に入れてください。
・2010年度総合考査Ⅰ出題 岡田暁生『音楽の聴き方』
・2012年度総合考査Ⅰ出題 内田樹 『最終講義-生き延びるための六講』
・2013年度総合考査Ⅱ出題 土井隆義『友だち地獄 「空気」読むサバイバル』
・2016年度総合考査Ⅱ出題 菊谷和宏『「社会」のない国、日本 ドレフュス事件・大逆事件と荷風の悲嘆』

【英作文参考書】
・飯田康夫「英作文基本300選―英語的発想の日本語をヒントにして覚える」

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