心拍変動が高い人ほど意志が強い

また、研究によれば、心拍変動の高い人は、気が散るものを無視したり、欲求の充足を遅らせたり、ストレスの多い状況に対処するのが上手であることが分かっています。そのような人たちは、例えば難しい課題に取り組んだ場合、たとえ最初のうちはうまくいかなかったり、誰かに批判的なことを言われたりしても、課題を投げ出さない可能性が高いのです。
(引用:「スタンフォードの自分を変える大学」,ケリー・マクゴニガル (著), 神崎 朗子 (翻訳))

「じゃあ自分の意志の弱さは、生まれながらにして心拍変動が上昇しづらい体質だから、どうしようもないんだ…」と悲観することはありません。心拍変動は様々な要因に影響を受けて変化しており、これを上昇させるための対策を「スタンフォードの自分を変える大学」という書籍から紹介します。

意志力を強化する

ストレスを排除し、健康を保つための行動をとる

心拍変動は、ストレスによって大きく変動します。ストレスを減らして体を健康に保つための行動であれば何でも有効です。しかし、多くの人が実際に行っているストレス解消法の多くは、実は効果がありません。例えばタバコ、お酒、やけ食い、ゲーム、ショッピング、インターネット、テレビや映画を2時間以上見る、などです。なぜなら、これらの行動はストレスを減らすものではなく、ドーパミンの欲求を満たすための行為であり、同時にドーパミン発生による不安を解消するための方法でしかないからです。米国心理学会では、効果的なストレス解消法の例として「エクササイズやスポーツをする」「礼拝に出席する」「読書や音楽を楽しむ」「家族や友だちと過ごす」「マッサージを受ける」「外へ出て散歩する」「瞑想やヨガを行う」「クリエイティブな趣味の時間を過ごす」などを挙げています。

呼吸を遅らせる

休止・計画反応が起きると呼吸が落ち着くという説明があったように、呼吸のペースを一分間に4回から6回までに抑えると、意志力を大幅に上昇させることが出来ます。呼吸のペースを遅くすることで、前頭前皮質が活性化し、心拍変動が上昇するのです。しかし、息を止めることはストレスにつながるので、やってはいけないそうです。もし難しい場合は、呼吸の数が最低でも一分間に12回以下になれば、心拍変動は確実に上昇します。この練習を毎日20分行うことが、この本では勧められています。

運動する

運動は日常生活のストレスが緩和されることで心拍変動のベースラインを底上げし、これによって意志力が強化されます。