みなさんこんにちは。今回執筆を務めさせていただく、2016年度に慶應経済を卒業したOBです。

私学の雄、慶應の看板学部であり、私大文系で日本一進級が難しいとも言われる慶應経済。
福沢諭吉が義塾を始める際、実学を重んずるとして重視したものの一つとして経済学があり、慶應の思想の礎を継ぐ学部の一つと言えるでしょう。
芸能界や政界だけでなく、トヨタ社長やサントリー社長など、財界に名を馳せる人々も数多く輩出しています。

そんな経済学部ですが、この記事では、改めて大学生活を振り返って、慶應大学経済学部がどういうところか、その強みと特徴をまとめてみたいと思います。

慶應経済学部

基礎を重んじる講義の姿勢

実学を学ぶ場、ということで慶應経済では実際の経済の中にある出来事を勉強していくのでは? と思う方もいるかもしれませんが、実態はむしろ学問の基礎を非常に重視していると感じます。
早稲田やMARCHなど、他の大学の経済系の学部の友人と話をすると、同じマクロ経済やミクロ経済の講義の話でも内容がすれ違うことが多いのです。
他の大学がかなり実例を用いて事象についての講義を進めている中、慶應経済では1,2年でしつこいほど理論を学ばされます。

取得しなければ3年次に上がることのできない必修授業には、マクロ経済学、ミクロ経済学、微分・積分、線形代数、統計学など(※)がありますが、これらの講義は基本的に時事的なテーマを話題や演習の参考程度にしか扱わず、理論として確立されている考え方、経済事象のモデル化、数式に落とし込んでの処理、といったところを徹底的に学ばされます(こういったところが、私大文系にもかかわらず進級が難しいと言われるゆえんかもしれませんね)。
(※ 数学受験者のみの科目もあり。慶應経済は数学受験者の方が間口が広いが、世界史・日本史で受験した生徒は非常に基礎的な数学だけで進級できるしくみが用意されている。入学したての頃は「数学できる組」と「できない組」の間に見えない壁のようなものがあったりなかったり…。)

こうした基礎教育の徹底ぶりは、その潔い落第のさせ方にも見て取れます。
期末試験一発などで成績をつける講義については、内容を理解せずに書いた答案を出した場合、教授にもよりますがD(落第)がつくことも少なくなく、毎学期ごとにキャンパスのあちこちでは学生の悲鳴が聞こえます。

しかし同時に面白いのは、義塾の文化なのか、多くの学生が協力しあって勉強を教えあい、「えぐ単」と呼ばれる教授の講義も乗り越えていくのです。慶應の「社中助け合い」の文化は卒業前から息づいているのですね。

こうした形でかなりしっかりと基礎を学ばされた学生たちは、三田で本格的に理論を学んだり、基礎をベースにして実際の経済事象を研究する、という段階に入ります。