助け合うが個を認め合う文化

慶應生なら誰でも、と言いたいところですが、経済学部にはよりその傾向が強いように感じます。
それが、助け合いはするが、個を認め合い、過干渉をしない文化です。

私は大学にほとんど通わず、インターンなどをして過ごしていた大学生だったのですが、テストの時期は協力し合いつつも、出席してこない私に対して軽蔑の態度をとるというよりは、自分の知らない領域についての話を聞きたがる人が多く、お互いが学んでいる別の領域での知見を交換しあう、という場面も多くありました。

この認め合いの文化はゼミと就職においても当てはまっているように感じています。

慶應は約6割の人数分しかゼミの枠がないため、4割がノンゼミといってゼミに属しない状態で卒業するのですが、ゼミに在籍していた友人はゼミとのつながりを非常に重視していました。
一部のゼミは就職に有利などと言われますが、実態としては「ゼミが就職に有利」なのではなく、「ゼミに属していることで就職できる力が身につく」という状態である言えるでしょう。

就職実績が高いと評判のゼミでは、助け合いの精神を持った慶應生たちがそれぞれ独自に情報を集めつつ、その情報をもとに就活戦線を乗り越えるための知見を共有し合う、という場面を多く見かけます。
私はノンゼミだったのですが、ゼミに入っていた友人の多くは就活が本格化する時期には圧倒的な情報量と練習を積み、ゼミの研究や課外活動での実績を持って大手企業に内定を取っていきました。
ですが、ゼミ生同士のコネクションで内定、ということはなく、あくまでそれぞれの実力で内定した結果、ゼミ生が同じ企業に会する、という様相のようで、話を聞くとみな自分の就職活動の意思決定は個人で進めているのです。

こうした不思議な集団制と個人主義が、経済学部では顕著であったなあ、と感じています。