受験生のやる気を削ぐ正体―遅延による価値割引―

人間は将来のことを考えるとき、未来の報酬に対してはその価値を異常なまでに割り引いて考えます。

例えば、「第一志望に合格すること」と「ワンピースを読破すること」は、どちらに価値があると思いますか?

ほとんどの人は「第一志望に合格すること」と答えると思います。それでは、「第一志望に合格する」ことの方が大切だと分かっているのに、なぜ勉強を後回しにして、ベッドに寝転がり、「ワンピース」を読み始めてしまうのでしょうか?

これは、実は「報酬が得られるまでの時間」に関係します。「第一志望に合格する」という目標が達成されるのは、例えば今高校3年生の春でしたら、約1年後です。それに対して、「ワンピースを読破する」という目標は今すぐ本棚から漫画を取り出すことで、達成することが出来ます。そうすると、「第一志望に合格する」という目標は遠い未来の話であるため、「勉強を始めるのはこれを読み終わってからでいい」と自分に宣言することで、言い訳を正当化し、目の前の誘惑に負けてしまうのです。

経済学者はこれを「遅延による価値割引」と呼びます。つまり、未来の報酬の価値を異常なまでに割り引き、目先の報酬に関してはその価値を増幅させるのです。

そのため、一日に細かくデッドラインを設けることは、やる気の向上につながります。すなわちデッドラインが出来ることによって、「移動時間が終わるまでに単語を30個覚える」という短期的な(目先の)目標が形成され、あなたの脳はしっかりとその価値を受け止めるのです。そうして勉強に対するやる気が出てきて、一日を効率的に使うことが出来るのです。

逆に、「1年後の受験のために今日単語帳をやらなければいけない」だと、どうしても目先の欲求(例えばiphoneアプリなど)に意識がいってしまいます。

勉強のやる気と効率を上げる方法?まとめ?

?学力向上の度合い = (勉強時間の量) × (勉強の効率)」である
?勉強時間の量を増やすには限界があるが、勉強の効率を上げることに限界はない
?効率良く勉強するには時間を区切ることが有効である(=やる気を高めることにも繋がる)

以上の3点は何か作業をするにあたって非常に効果的な考え方ですが、時間に区切りを入れるほど近視眼的になり、目先の点数などを必要以上に気にしてしまい、どうしようもなく不安に襲われることもあります。

これを防ぐために「人生時間」という考え方があります。デッドライン効果で短期的な視点を持ちつつも、人生時間によって長期的な視点も確保しながら、バランスよく受験勉強を進めていきましょう!

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