受験生が知るべき脳の仕組み?―休止・計画反応―

休止・計画反応とは、あなたが衝動的に何かをしたい!と思った時に、それを思いとどまらせる反応です。

例えば、勉強に猛集中している最中に、あなたのアイフォンがピロロンと音を鳴らし、何かのメッセージが届いたことを知らせるとします。すると、あなたは勉強中にも関わらず、そのメッセージが一体誰からでどんな内容なのか、猛烈に確認したくなりますよね。このメッセージを猛烈に確認したい時に、あなたの脳の中央部分からドーパミンという神経伝達物質が大量に放出されています

ドーパミン

このドーパミンというのは「衝動的欲求を叶えようとさせる」力を持っています。すなわち、脳全体に「今すぐアイフォンを確認しよう!」と指令を出すわけです。ドーパミンは興奮状態をもたらす作用もあるので、脳内は「アイフォンを確認したい!」という欲求から生まれた興奮でいっぱいになり、感情を欲望に支配され、こうしてあなたの体が動き出し、右手を伸ばしてベッドの上に置いてあるアイフォンを手に取ってしまいます。こうして、二度と勉強には戻ってきません(笑)これが、欲求に負けてしまう時の脳のメカニズムです。

これだけ読むと「何でドーパミンなんてものが人間には備わっているんだ!こんなもの必要ない!」と思われるかもしれませんが、実はそういうわけではありません。
ドーパミンによる異常なまでの欲求は、脳の形成期である大昔の人間を生きながらえさせてきました。現在のようにコンビニエンスストアで気軽に食料が買える文化はなく、日々の食糧を確保することに全力を捧げていたころの人間は、このドーパミンによる欲求があるおかげで、木の実があれば飛びつき、獲物を見つければ狩りをサボることなく食料を確保することが出来たわけです。また、性的欲求があるおかげで、人間は絶滅することなく今日まで生存繁栄することが出来ています。欲求は、絶滅を防ぐための「食料」と「子孫繁栄」にとって、必要な本能だったのです。絶滅防止という大義名分の下には、「勉強をやめてアイフォンを手に取ってしまうかどうか」なんて全く関係ないんです。

さらに、ドーパミンが放出されなくなると鬱になることが、研究によって分かっています。ドーパミンは、「あれが欲しい!」「これをやりたい!」と人間に思わせる役割がありますが、これがなくなってしまうとどうなるでしょうか。欲求を感じなくなると、幸福を追い求めるという行動をしなくなるため、ただ機械的に日常的な習慣をこなすだけ(朝起きて、歯を磨いて、顔を洗って、ご飯を食べて、寝るだけ、など)の動物となり、これは鬱病の症状です。

ですから、「生存繁栄のため」「楽しく生きるため」にドーパミンは必要だということです。