社会学の観点から見るディズニーランド

さて、では実際に社会学を使った研究例を見てみましょう。

僕は、慶應商学部非常勤講師である井原久光先生の「社会学」を受講しています。今回は井原先生の著書「社会人のための社会学入門」から一つ興味深い例をご紹介したいと思います。

社会学の観点から見ると、ディズニーランドは結局「虚構」であり、「訓練された監視社会」となります。

虚構とは、実際には存在しない作り上げられたものという意味ですが、ディズニーランドのような夢世界は実在せず、それはウォルトやディズニーのスタッフたちによって築き上げられた偽物の世界です。

それは、ディズニーキャストたちの「舞台役者」を演じているかのような演劇型労働や、仕事として感情や表情を振りまく感情表出型労働によって支えられています。

演劇型労働や感情表出型労働はディズニーにとってなくてはならないものであり、決して損なわれてはいけない要素です。

そのために、ディズニーランド内では一般人に化けた覆面の監視者がキャストの仕事ぶりを監視しています。そして、キャストはゲスト(客)を監視しています。ゲストは裸足や上半身裸で入場して「虚構の夢世界」を壊してはいけないからです。

また、僕はゲストもキャストを監視しているように思います。キャストは夢世界を演出する役者でなくてはならず、その演技ぶりは常にゲストによって監視されています。

つまり、ディズニーとはキャスト同士、キャストとゲストが監視し合う「監視社会」であり、またディズニーキャストの「演技」などによって作り上げられた「虚構」というわけです。

そして近年、ディズニー化という現象が起こっています。カフェやレストランにシャレた非日常的なデザインを取り入れられるようになったり、接客サービスとしてパフォーマンスを演じる演劇型労働や笑顔を絶やさない感情表出型労働が使われるようになりました。

このように、社会とその社会に属するコミュニティも密接に影響し合っています。果たして、ディズニーの世界が私たちの世界に近づいているのか、それとも私たちの世界がディズニーの世界に近いづいているのか…。

そう考えると、私たちの世界はディズニーの世界そのものなのではないだろうかという気すらしてきます。虚構は、虚構であって現実となりうるのではないだろうか…。

社会学の面白いところですね!

おわりに

以上、今回は慶應大学選択科目の中でも人気を博する「社会学」についてお話してみました!

いかがでしたでしょうか。

様々な学問に触れることで、自分が本当に学びたいこと、やりたいことを見つける機会の一助となっていれば嬉しいです。