東大=就職無敵という固定概念はもう捨てろ!?就職に求められる資質の変遷?

第2次産業が主流の時代において、商品を生み出すために最も必要なものはお金でした。何故なら、自動車などを製造するためには大型の設備が必要であり、設備を調達するには何よりもお金が不可欠だからです。これに対して第3次産業が主流の時代において、商品を生み出すために最も必要なものは人です。何故なら、情報技術の発達によって何かをつくるために必要なお金(コスト)が大幅に削減されたおかげで、人が生みだすアイデアさえあれば、それを形にするためのお金は少なくて済むからです。

製造業中心の社会では、進むべき方向性(目的や目標)が決まっていたので、「正解を正確に速く導き出すことができるヒト」が求められてきました。この「正解を正確に速く導き出すことができる力」を、私たちは学校の勉強を通じて養っています。これが、学歴の高いヒト=優秀な人という構図が成り立ち、東大が就職で無敵の力を発揮する理由でした。

一方で、IT・サービス業中心(これからの世代)の社会では、商品は常に流動的であり、製造業のように製品Aを作り続けていれば向こう10年間は常に利益が生まれる、という環境ではありません。ニーズに合わせて商品を常に変えていかないといけないので、進むべき方向性も明確ではありません。iphoneは毎年新しいバージョンが発表され、同じバージョンの中でもアップグレードを繰り返しています。

そうなると、これが正解じゃないかな、という仮説を自ら立てて、実際にやってみて、まずかったところを修正する、という風に「能動的に考えて行動し続けるヒト」が企業から求められてきます。「能動的に考えて行動し続ける力」は、勉強だけで養われるのではなく、部活動や学園祭など、日常生活のあらゆる場面で鍛えられる力です。

そのため、現代の就職環境においては、どこの大学に所属したかよりも「何を考えて、どう行動したか」ということの方が大切になってくるのです。その意味で、東大や早慶という壁はなく、就職活動時にはひとりの人間としての力が問われます。

終わりに

学歴フィルターが存在する以上、学歴は大切です。ただしそれは、私は「正解を正確に速く導き出すことができる力が高いですよ!」と言っているだけで、「能動的に考えて行動し続ける力を持っていますよ!」と言っていることにはなりません。

親世代が想像する日本の大企業は「第2次産業」の会社が中心だと思います。しかし、現在の高校生が就職する会社は果たして「第2次産業」の会社なのでしょうか。もちろん第1次産業も第2次産業も大切な産業ですから、その世界で生きていきたい!というのも素晴らしいと思います。大切なことは、社会の全体像を知り、その中のどの辺りで生きていきたいのかを、自分自身の意思で決断していくことではないでしょうか。